top >2016 >  2016/05/19


檻に閉じ込められたかの政令市移管

「専門性」は教員の雑務排除か!?

 義教金の政令市移管まで1年を切った。

 これまでに明らかにされた情報によれば、職としての学校事務は維持されたものの、「職の専門性」を理由に業務内容の拡大(業務の押し付け)が行われようとしている。一方、給与格付けは未だ明確になっていない。

 学校事務存続のキーワードは「職務の専門性」

 市教委の説明によれば「学校事務職の存続には、一般事務の職務と異なり、『学校事務職員の職務の専門性』が必要」ということだ。そして、専門性を担保するためには@学校における金銭等を管理する、A学校運営等に参画する、の2点が必要とされた。

 具体的には、「事務職員の専門性を発揮」するために、学校基本調査、教科用図書給与関係事務、学校徴収金事務(給食会計事務)、その他会計事務(補助教材、修学旅行費等)、就学援助・教育扶助に関する事務、特別支援教育就学奨励費に関する事務があげられ、学校事務職員の主担当とすることとされた。もっとも、「主担当の定義、教員と事務職員の協働の方法は今年度検討」となっており、確定ではない。また、学校運営等への参画として、「学校事務職員の9割以上が主担当又は副担当をしており、かつ、3分の2以上の学校事務職員が主担当としている職務」(14項目)については学校規模等に関わらず、すべての学校事務職員を主担当とすることとされた。

 専門性の発揮場所は教員の多忙化解消!?

 これだけを見てもよくわからないが、昨年7月に市教委が行った学校の職務内容に関する調査結果を見ると市教委の意図が見えてくる。

 別掲の「学校の職務内容に関する調査結果(H27.7実施)」と題する表は、市教委作成の表の表示方法を加工したものだが、「学校運営参画」業務として挙げられた14項目は、給与、旅費、福利厚生、物品、予算・決算といった項目で、学校事務職員であればほとんどが担当している業務であり、ことさら取り上げるまでもないものだ。

 問題は、「専門性発揮」業務として挙げられた6項目だ。調査結果を見るとこの6項目すべてが校務主任とその他教員が担当している項目だ。「チーム学校」「教員の多忙化解消」を言うとき、副校長・教頭の業務の多さがよく話題になるが、名古屋市の場合、「専門性」の名のもとに、一般教員の多忙化解消に目を向けている。言い方を変えれば、むかし日教組がよく言っていた「雑務排除」だ。

 労働条件が確定しない中で業務だけが増えていく

 名古屋市は「現行の主査、事務長、総括事務長は係長職ではない」ということから5級格付けは行わない模様だ。もっとも、現在の給与月額に地域手当分の補正をかけて直近下位の金額に移管後の給与は決定されるのだから、一応は金額保障がされる。しかし、「職務の専門性」に対しては給与の裏付けはされるかどうかは決まっていない。

 2017年4月1日の移管の前も後も雇用主は同じ名古屋市教委。給料もほとんど変わらない。仕事だけが増やされる。

 公務員の世界での賃金は「職務給の原則」というやつに基づいているそうだが、名古屋の学校事務職員には適用されないみたい。学校に閉鎖職として閉じ込められ、給料は変わらないのに仕事だけが増やされる。しかもその仕事は教員の「雑務」ときている。まるで市教委と教組によって作られた檻に閉じ込められたかのようだ。

 「同一労働同一賃金」とか「職務給原則」とかいわれるが、仕事に応じた賃金は当たり前のことだ。仕事量を増やすのなら、それに応じた給与を名古屋市は支払うべきだ。



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